園便り 平成28年12月

本文

園便り

今月の園便り 12月

<褒めすぎない⇒認める>

乳幼児期の子育てにおいて「褒めて育てる」を奨励している育児書がたくさんあります。さらに、子どもは「褒めて伸ばす」ことを目的にする教育研究者も多いので、「褒める」ことにポイントをおいた子育ては、一般的に多いと思います。かくいう私も、以前は「褒める」ことを保護者の方々に勧めていたことがあります。しかし、モンテッソーリ教育や心理学をとおして子どもへの褒めすぎることへの影響や、「褒める」にはコツがあること学びました。

それは、「褒めすぎる」と、いつの間にか子どもは「わたし上手にできたでしょ」「全部できたよ」など、人から高く評価されることが良いことと認識し、褒められることに価値を置くようになるからです。「褒められること」に意識がいくと、子どもは失敗することや、上手にできないことを恐れるようになります。近年、集団で「椅子取りゲーム」「しっぽ取りゲーム」「フルーツバスケット」などのゲームを行うとき、参加することを嫌がる子どもが出てきました。参加したくない理由を尋ねると「椅子に座れないといやだから」「しっぽをとられたくないから」など、最初から上手くできないことを想定しています。これではゲームを楽しむことができません。そのような時は「楽しいかもしれないし、やってみなければ、何もわからないのよ。」と声をかけるのですが、納得してチャレンジすることはありません。このような様子を見ると、小さい時から「失敗することを恐れている」ことが気になります。「失敗は成功の“源”」です。「やってみなければ結果はわからない」「失敗は成功の“基”」失敗を恐れずに挑戦し、成功するにはどうしたら良いのか…と考えることの大切さを子どもたちに伝えていきたいと思います。

もう一点の「褒めるコツ」についてですが、保護者の皆様は子どもが夢中になって何かに取り組んでいる時、どのように接していますか。夢中になっている時に「何を作っているの?」とか「よくできたわね」など、活動を妨げる言葉をかけてはいませんか。子どもが取り組んでいる活動に夢中になり、満足した時には必ず自分で終了させます。そして、微笑みながら満足した顔をあげるのです。大人はその時に目を合わせ、「できたね」と笑顔で頷くだけで良いのです。子どもは自分で満足した時、やりきった時は、オーバーに褒めて貰えなくても満足するのです。大人は子どもが達成感を感じた瞬間に立ち会うことができて、それを互いに静かに認め合うことができれば、それは子どもたちの心の栄養になります。この経験の積み重ねがあれば、決して「褒められることを期待する」子どもに育つことはありません。年末年始、家族で過ごす時間が多い時こそ、子どものできた!を「認める」ことができる瞬間に立ち会っていただくことを願っております。