園便り 平成28年6月

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園便り

今月の園便り 6月

5月21日(土)の子育て支援講演会は、フランシスコ会の松本巌神父様による「カトリックの人間観とモンテッソーリ教育」について講演していただきました。今回の講演で神父様ご自身が幼少期にモンテッソーリ教育を受けていらっしゃったことを初めて知りました。当時は高度経済成長期にあたり、指示を受けたことを理解し良質な物を大量生産することが求められる社会だったことから「同じことを集団で学ぶ」ことが重要であると考えられていました。神父様のお話から「自分で選ぶ」ことを主体としたモンテッソーリ教育が受け入れられなかったことは、時代背景として納得することができました。そして、現代は「個性重視」「自主性」を尊重する社会となっています。50年の間に教育の世界が大きく変わったことを、今回のお話をとおして改めて考えさせられました。これだけ教育の世界が大きく変わるということは、世の中の価値観も大きく変化しているということです。変容する社会の中で根本になる柱がなければ時代に流されてしまうことになります。

カトリックの人間観における価値は「一人ひとり違うこと=唯一無二の存在」にあります。違いがあるからこそ「個性」になるのです。「個性」=「発達の違い」でもあります。一人ひとりの発達にあった教育がモンテッソーリ教育です。自分がやりたい!と身体が求めているものを「選ぶ:自己選択する」ことは、将来、様々な物事を自分で決断する力を培うことだと神父様によってわかりやすく語られました。そして、具体例をとおしてモンテッソーリ教育が行っている方法を実生活の中でも活用していくことの大切さや、『「愛」「信頼する」といった抽象的な言葉を理解することは難しいので、日頃から具体的に接して伝えていくことが重要である』ということなど、話してくださいました。今回の講演会に参加してくださった保護者のかたからは『「具体物」の大切さを強く感じました。言葉だけではなく、子どもの立場で「具体物」を示してあげられるようになりたいと思いました。』『モンテッソーリ教育が暗記ではなく、理解することであるという具体例がたくさん含まれていて、日々の生活や教具の触れ方がいかに大切かということに、より理解を深めることができました。』『今から約40~50年前に日本に初めてモンテッソーリ教育が伝わり、その教育の恩恵を受けられた松本神父様の培ってきた教育観、世界観に触れ、刺激を受けました。個々の違いを認め合うことがカトリックの基本理念であることを知りました。』などたくさんの共感の声をいただきました。